旧作7泊8日メモ

映画の忘備録

この世界の片隅に

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名もなき庶民の昭和史

 

総 合★★★★★★★★★(9)

満足度★★★★★★★★★(9)

 

 

庶民の歴史ドラマとしても見られるし

ほんわか女性奮闘記とも見れるし

恋愛映画としても見られる。

みる人が好きな見方が出来る。

根底には戦争の理不尽や残酷が描かれているが

決して押しつけがましいものではない。

 

国の戦争に疑問も持たず

貧乏にも腕を無くしてまでも

両親兄弟を失くしても

不満を言うこともなく

淡々と生きる。

そんな主人公すずが玉音放送を聞いて

「最後の1人まで戦うんじゃなかったのか?

ここに5人残っている!まだ左手も両足もある!」

という

壮絶なセリフをはく。

 

現代とは違う価値観なのに

全編に漂うリアルさと迫力。

 

こうの史代の原作と合わせ

取材や時代考証

しっかりしてるからこそのリアリティ

 

 

 

その後街に太極旗が掲げられるのを見て

泣き崩れて独白するシーン

 

「自分は海の向こうから来た

米や大豆で出来ているから

暴力に屈しないといけないのか」

 というのが

 「ハテ?」

 と、違和感を感じた。

まぁ流れで観られてしまうから

いいのだけど・・・

 

なんで???

 

ググったらすぐわかった

そこ原作から脚色しちゃってるのです。

原作は

「他国を暴力で従えていたから

この国は暴力に屈するのか」

 

 それなら解せるし

その方が圧倒的に収まるのに

ハードすぎるってことですかね?

そこ脚色しちゃったらわけわからんと

思いました。ちょっとした残念。

そのクライマックスのズッコケがなければ。。。

 

 

 

1番の成功は「のん」のキャスティング。

彼女の柔らかい空気感が全体をフワッとさせて

尚且つ現代的でもあり

この作品を成功に導いている。天才。

 

アニメをしっかり描くところと崩した絵で描く箇所を入れたり

演出も面白い。特に爆弾で腕を失うシーンの無音と暗転と

落書きのような崩した演出も。

 

素晴らしい映画。

最後のテロップで

これがクラウドファウンディングで作られてることに驚いた。

やはりこれだけ良質な作品は

通常の映画制作の道筋では作れないのかしら?

 

 (2016 日本)

この世界の片隅に

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