旧作7泊8日メモ

映画の忘備録

トゥルー・グリット

f:id:jimmys_nooker:20181225170453j:plain

f:id:jimmys_nooker:20181225170504j:plain

 

勇気ある堅物少女の復讐冒険物語

総 合★★★★★★★★★☆(9)

満足度★★★★★★★★★★(10)

 

 

コーエン兄弟監督、製作、脚本による2010年のアメリカ映画。

スピルバーグ製作総指揮。

1969年のジョン・ウェイン主演の西部劇『勇気ある追跡』をリメイク

 

リメイクというより

原作のチャールズ・ポーティスの小説を

映画化したものとコーエン兄弟が語っている。

 

f:id:jimmys_nooker:20181225171015j:plain

 

コーエン兄弟の他作品とは違いヒネリは少なく

あえて正統派な演出による西部劇。

 

アメリカ開拓史に眩しいようなノスタルジアとリスペクトが払われている。

裁判や罰則制度や身分制度や差別問題、宗教、アメリカが切り開いてきた

たくさんの問題を賛美することも批判することもなく

淡々と物語に織り込んである。

 

物語は父を殺された14歳の少女の復讐劇。

堅物で理論的で

俗世な女性的魅力に欠ける少女の冒険劇、

終わってみれば儚い恋愛物語でもある。

 

 

素晴らしい作品。

 

鑑賞後ライムスター宇多丸氏の解説が

YouTubeにあるので観てみたところ

 小説まで読み込んで

細部を解説しててとても勉強になった

 

 

2010 アメリカ)

 

 

トゥルー・グリット (字幕版)
 

 

 

ヒストリー・オブ・バイオレンス

f:id:jimmys_nooker:20181218022945j:plain


アメコミをクローネンバーグが描く

総 合★★★★★★★☆☆(7)

満足度★★★★★★★★☆☆(8)

 

アメリカの評論家から絶賛され、

『ローリング・ストーン』誌の20051位に選ばれた作品。

トロント映画批評家協会賞 作品賞

シカゴ映画批評家協会賞 監督賞

全米映画批評家協会賞 監督賞

他受賞多数

 

 

原作はグラフィックノベルであり

弱気庶民が実はスーパーな過去を持つ男という設定

 

いかにもアメコミにありがちな設定だが

それをクローネンバーグが手がけると

妙に重厚感と変化球感が出ている。

 

 

(以下少しネタバレ)

 

 

ただそのクローネンバーグ異質テイストは

その先になにかあるのか?

という歪んだ展開を期待してしまうが

そんな展開もなく意外に拍子抜け。

 

これで完結してるのけ???

とアングリなってしまった。

ただストーリーを考えるときちんと完結している。

演出的に大団円感がないのでそう感じてしまうだけだが。

 

性描写がエグく、SEXシーンをネットリ見せて

そのエグさが物語に効いてくるのかと思ってたら

そんな関係ないし。単純に長いSEXシーン描きましたという感じ。

 

主人公がなぜ庶民を選択してるのか?という

核心的な部分にもあまり触れていない。

 

ただし

物語は単純に面白い。

謎も多く飽きることなく一気に見られる。

 クローネンバークの作品にしては娯楽的に見られる。

 

2005 アメリカ・カナダ

 

 

 

 

 

 

スキャナーズ

f:id:jimmys_nooker:20181214115652j:plain


グロイが面白い

総 合★★★★★★★★☆(8)

満足度★★★★★★★★★★(10)

 

1981年のカナダの映画。

デヴィッド・クローネンバーグ監督の出世作

アマゾンプライム2013年のリマスター版ありで

映像は現在のもののように鮮明になっている。

 

81年当時は頭が吹き飛ぶとか

血管が破裂するとか

グロシーンがセンセーショナルで

怖いもの見たさのスプラッター的であり

パーティームービーみたいな

見られ方すらしてた。

 

ただ、娯楽作品として圧倒的に面白い。

特殊能力を持った正義漢という設定は

今のX-MENHEROS

なんら変わらない単純な勧善懲悪であり

それに肉付けされてこの映画が金字塔たる所以は

やっぱり

血管グニョブニョ頭ドカンなのだろう。

 

よくも悪くも「癖(ヘキ)」を作品にするクローネンバーグなのだが

ヴィデオドローム Videodrome 1983年)は変態すぎて

面白いのだがキモチワルイ。

デッドゾーン The Dead Zone 1983年)はサイコー。)

クラッシュ Crash 1996年)で癖を作品性を結実させ最高に面白いのだが

やはり気持ちわるい。

そう言いながらクローネンバーグ大好き

 

(1981 カナダ)

 

 

 

 

カットバンク

 

f:id:jimmys_nooker:20181204124718j:plain

f:id:jimmys_nooker:20181204124723j:plain



田舎と狂気

総 合★★★★★★★☆☆(7)

満足度★★★★★★★★★☆(9)

 

若者が田舎町を出るために

懸賞金目当ての狂言殺人をでっち上げるんだけど

そこに無垢なサイコパスが絡んできてしまい

計画が破綻してリアル殺人事件へと発展していってしまう。

 

良く出来た脚本なんだけど

完璧な計画に不測を招く要素として

サイコパスを使うと

なんでもアリになるかも。

 

とはいえ良く出来た物語。

結末は意外性もあって秀逸。

全体的にアメリカの田舎町の

鬱屈した空気感がよく出ている。

 

アメリカの田舎町は表面的には平穏で牧歌的なのに

各々が武装してる矛盾と狂気を孕んでる。

 

ファーゴみたいだなぁ

ということと

テレビドラマみたいな演出だなぁ

ということを感じたのだが

見事にファーゴのテレビドラマの監督さんの劇場作品でした。

 

ジョンマルコビッチ演じる保安官は

死体を見ただけで吐いてしまうような気弱な保安官。

そんな彼が育った町を一人で守る。

そこには「シェーン」や「真昼の決闘」のような

閉ざされた田舎での逃げられない使命のような西部劇的なものがある。

それはコーエン兄弟の「ノーカントリー」にも通ずる。。。

監督は

コーエン兄弟のフォロワーなのかな?

 

ついでに言うと

サイコパスのダービーが

彼のみが知り得るノスタルジックな絵を

3Dに完全再現しようと固執するくだりは

「バートンフィンク」と似てなくもない・・・

それは勘ぐりすぎか。

 

 

(2014 アメリカ)

 

 

カットバンク(字幕版)

カットバンク(字幕版)

 

 

ボヘミアン・ラプソディ

f:id:jimmys_nooker:20181203151705j:plain

 

LIVE AIDに泣く

総 合★★★★★★☆☆☆(6)

満足度★★★★★★★★★★(10)

 

恋愛や親子愛や伝記など、物語を見せつつ

最後にライブエイドでの大爆発という構成が大成功している。

ライブエイドの再現度へのこだわりがハンパない。

バンドメンバーの一挙手一投足

後からYouTubeで実際の映像を確認しても完璧。

映画は雑だし人間の感情みたいなものがおざなりで

強引に伝記としての物語が進んで行くんだけど

そんなことを音楽の素晴らしさが吹き飛ばしてくれるような作品。

ライブエイドで泣いて

エンドロールのテロップにDONT STOP ME NOWのPVが流れるのだけど

そんなことでまた泣いた。

人間映画としてでなく

ロック映画として着地しているところがGOOD!

 

 

(2018 イギリス・アメリカ)

 

 

ボヘミアン・ラプソディ

ボヘミアン・ラプソディ

 

 

 

 

テラフォーマーズ

f:id:jimmys_nooker:20181124005712j:plain

攻めてる日本映画

総 合★★★★★★☆☆☆(6)

満足度★★★★★★★★☆☆(8)

 

 

日本映画がここまで

ド直球にSF映画に挑むことは

喜ばしいこと。

人気漫画の実写化なので成し得たことではあるけど

こういう作品が漫画というバックボーンがなくとも

突如作られるようになってほしい。

  

多数の登場人物

その各々の過去

各々の虫の解説

火星でのミッション…etc

物語に沢山の事を

詰め込んでいるが

よくまとまっている。

 

ただし物語は風呂敷を広げすぎて

回収不能になって

無敵無数のゴキブリを爆発1発で

全部片付けちゃうとか都合よすぎる箇所も多々ある。

 

スピード感とテンポは良いので

見ていて退屈しない。

だから漫画実写=三池崇史監督なんだろうけど

そこは冒険があってもいいのかも。

 

ゴキブリ人間の難しい造形を

CGでやろうとか、よく選択したなぁと思う。

おかげで面白い動きが出来ている。

全体にはCGは頑張っているが

メジャー作品として劇場公開するような

レベルには達してないお粗末な箇所もまだまだ多い。

 ただし攻めてる日本映画。

 

余談ではあるが

ジャニーズの山下智久も出演しているが

映画のポスターからバッサリ排除されてるのは

本人にも作品にも何一つ得はない。

ジャニーズ事務所のブロマイド時代の間違った肖像権管理は

早く改善した方がいい

(2016 日本)

 

テラフォーマーズ

テラフォーマーズ

 

 

 

ロリータ

f:id:jimmys_nooker:20181120004511j:plain

食わず嫌いアカン

総 合★★★★★★★★☆☆(8)

満足度★★★★★★★★★★(10)

 

 

スタンリー・キューブリック1962年の作品。

ロリコンの語源にもなってるメジャー作品だが

アイズワイドシャットと同様、性癖系映画と決めつけ

食わず嫌いで観てなかった。

 

当初思ってた変態映画では全然なかった。

儚い文学性が感じ取れる良い作品だった。娯楽性も高い。

 

オヤジのやるせない純愛物語。

主人公のハンバート教授がロリータと知り合ったのが

36歳、最後のシーンが41歳。。。

今は36歳独身男が10代の少女に恋をしても(特にロリータ役のスー・リオンなら)全然不思議じゃないけど、小説が書かれた1955だと異常なことだったようだ。

映画も今では考えられないような厳しい制約を受けながら制作をしていて

ハンバート教授とロリータのエロティックな場面などは描けていないらしい。

 

ナインハーフや危険な情事のエイドリアン・ライン監督が1997年に、より原作の小説に忠実に映画化しているが$62,000,000の制作費に興行収入$1,071,255とはボロコケ。。。

忠実に描けば支持されるというものでもないようだ

しかし切ない。

原作の結末をWikiで知ったが原作は更なるバッドエンド。

 

視聴者も昔なら「ロリータ」と書かれたDVDをレンタルするのは

何か世間の目が気になって恥ずかしかったりするが

今はアマゾンプライムで見られてしまう良い時代。

重ね重ね変態映画じゃありません 

 

(1962年 アメリカ・イギリス)

 

ロリータ (字幕版)

ロリータ (字幕版)