旧作7泊8日メモ

映画の忘備録

コラテラル

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真面目な殺し屋と真面目なタクシー運転手

総 合★★★★★★★★☆☆(8)

満足度★★★★★★★★★☆(9)

 

コラテラル=巻き添え

タクシーの運転手が殺し屋を乗せてしまったことから

殺しに巻き込まれる物語。

トム・クルーズがロマンスグレーの悪役を演じる。

物語の主役はタクシー運転手の

ジェイミー・フォックスって感じがしなくもないが

トムの冷徹だが物悲しさも抱えた殺し屋の存在感は凄い。

 

でも冷徹やり手な殺し屋が

運転手だけ待たせて殺しの仕事するつもりが殺した対象をビルの窓から落としてしまい

しかも死体は待機してたタクシーの上に落下して運転手に正体を悟られてしまうミスを犯したり

当日の殺しの計画を暗記していないというありえないミスに加えて

計画書を書いた大切なブリーフケースを待たせたタクシーに残したまま

殺しに出かけていく無防備さを披露したり

その計画書をタクシー運転手に破棄されてしまうという致命的なミスを犯し

性懲りも無く最後は殺しの対象が書かれた資料をタクシーに残したまま殺しに向かう。

そんなうっかりさんなのだが、トムのあくまでも冷徹な仕事出来る殺し屋演技でカバー。

ツッコミどころは進行上は気にならない。

 

やり手の殺し屋がクライアントに

「すいません資料無くしたので再発行お願いします」

と替え玉使って頼みにいくなんていうシーンは

よくよく考えたら間抜けで共感をもった

 

物語の展開と演出が素晴らしいのだが

その中できちんと二人の心の動きや悲哀や人間性が描けているのが

さすがはマイケル・マン

 

トム・クルーズの数ある出演作の中でも

評価が高い作品の1つ。 

 

(2004年 アメリカ)

 

 

コラテラル (字幕版)

コラテラル (字幕版)

 

 

 

 

鑑定士と顔のない依頼人

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恋愛ミステリー

★★★★★★★★☆☆(8)

個人的満足度(8)

 

ジュゼッペ・トルナトーレ監督・脚本による2013年のイタリア映画。

映画音楽はエンニオ・モリコーネ

ニューシネマパラダイスコンビ。

 

一見地味で小難しそうな雰囲気だが

内容はハリウッド映画のような

明快単純な恋愛ミステリー映画。

 

 

 

以下ネタバレ

 

 

オチバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

終わってみれば

美術鑑定士の金持ちの老人が美人局にあった話で

騙される過程で老人は初めて詐欺犯女性と愛に落ちる。

実は騙されていた虚構の愛であり

見返りに数千億円の資産を失う。

それでも尚、

騙した女性を愛し彼女を求めて映画は終わる。

 

後味は悪いが

経験できたことは老人の人生においては

失った数千億円よりも価値があることなのではないか?

とも思えたりする。

 

そういったメッセージは映画全般に仕込まれている。

「贋作絵画であってもどこかに贋作作家の本物が出てしまう」

といったように。偽恋愛でも。

 

ただ仕掛けが突拍子もなくリアリティは欠いてるわけで

深い話でもなく

難しい話でもなく

良くできたエンタメ作品。

 

 

 (2013年 イタリア)

 

 

 

 

HEAT/ヒート

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キレキレの決闘劇

★★★★★★★★☆☆(8)

個人的満足度(8)

 

ギャングの世界しか
自分の表現手段がない男と

同じく刑事しか
自分の表現手段がない男と

違いを認め合いながら戦う男2人

漂いまくる哀愁。

 

あまり笑わない怖いデニーロの演技は最高。

同じくピリピリ神経質でワーカホリック

アルパチーノも最高。

ゴッドファーザーIIでは共演シーンはないので

初共演作ということになる。

脇役も豪華名優だらけ。

 

強盗シーンや

銃撃シーンの重厚でシャープな見せ方は

さすがはマイアミバイスやスタスキー&ハッチなど

男ドラマでの叩き上げマイケル・マン

凄く迫力がある。

カシャっていう銃のブローバックの音一つとっても違うと思ってたら

やはり本物の銃で撮影してるし、

役者には実弾射撃で演技練習してもらってる

発射音も実物のものを使っているとのこと。

銃へのこだわりようハンパない。

 

クリストファー・ノーランダークナイトを作るにあたって

この映画を研究したというのも頷ける。

キレキレ

 

(1994年 アメリカ)

 

ヒート (字幕版)

ヒート (字幕版)

 

 

 

野火

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グロいが観れてしまう

★★★★★★★☆☆(7)

個人的満足度(7)

 

大岡昇平の原作に沿って

塚本晋也監督が主演までこなした力作。

戦時下ジャングルの中の追い詰められた日本兵たちの

異常や悲惨を描く。

グロ映画を撮りたかったのかな?

と思えるほどグロいシーンもあるのが。。。

 

テンポが良くてあっっというまに観られる

音の大小のレンジが広すぎて

ボソボソ囁くセリフが多く聞き取れないから

ボリュームをあげると

爆音で効果音や音楽が入り

まぁ聞きにくい。

 

 

「生きるために仲間と力を合わせる」
   ↓

「生きるために仲間から奪う」
   ↓

「生きるために仲間を食べる」

 

まで行き着きそうな究極を体験してしまった人たちは
一生消えないトラウマを抱えて
それが野火であり
重いテーマです。

 

(2014 日本)

 

 

野火

野火

 

 

ノー・エスケープ 自由への国境

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超シンプル

★★★★★★★(7)

個人的満足度(7)

 
砂漠で謎の殺人鬼に襲われて
逃げる物語。


そんな自主制作映画みたいな内容を
ゼロ・グラビティの一流スタッフ達が
メジャー感溢れる
映像で撮っている。

前置きもなく
複雑な構成もなく
登場人物の人となりも説明もなく
シンプルに、
密入国しようとする移民に
狂ったレイシストが襲いかかる
砂漠の逃亡劇をやりきっている。

ポスターにもなっている
岩場での逃亡・追跡劇は見応えがある。


シンプルで何も考えず観られて良い。


劇場公開作品なのですが
短編映画みたいな内容だから
お金払って見るのは、、、キツイかも。

砂漠のロケーションも魅力。

(2015年メキシコ・フランス合作)

 

 

 

ヒトラー ~最期の12日間~

 

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祭りの後のナチス

★★★★★★★(7)

個人的満足度(7)

 

原題:Der Untergang、英題:Downfall
 
2004年公開のドイツ、オーストリア、イタリア共同制作。
原題はドイツ語で「失脚」「没落」の意。
 
動画投稿サイトのパロディー「総統閣下シリーズ」の元ネタ。
 
ヒトラーを悩める人間として描き
ナチス将校たちの葛藤を描いたことは
少し画期的。
 
ヒトラーの優しさなどタブーを描けたのは
指揮官としては徹底的に無能であり、弱い人間として
描ききってるからだと思われる。
敗北を受け入れず撤退や降伏を断固拒み、
それにより市民は犠牲になって当然とする無責任。
映画は始まってしまった戦争を終わらせる難しさを
浮かび上がらせている。

ウッカリしがちだけど
ベルリンを陥落させヒトラーを追い込んだのは
チャーチルでもアメリカでもなく
ソ連軍。
しばらく前にこんなTweetがバズッてたけどまさに。
 
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ヒトラーゲッペルス
全く責任をとることなく
政権を選択したのは国民なのだから
国民が死んで当然という認識でいる。
ゲッペルスの奥さんに至っては
完全に第三帝国という宗教にのめり込んでいる。

物語は史実をベースに人間劇を淡々と描くので
抑揚はないのだが
最後にヒトラーの秘書だったユンゲの
現代の(2002年没)インタビュー映像が挿入されて、
そこでの彼女の
「若かったからといって許されることではない」と
毅然と自戒する語りだけグッとくる。
 
(2004年 ドイツ オーストリア イタリア)
 

 

 

 

 

 

交渉人 The Negotiator

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謎解き痛快交渉劇

★★★★★★☆(6)

個人的満足度(7)

 

交渉人としての活躍を描くというより

交渉人が事件に巻き込まれることで

ノウハウを駆使して立ち向かっていく物語。

 

ネットの視聴者のレビューの評価が高かったので見てみた。

絶体絶命感の演出が上手くハラハラさせられる。

 

設定はありふれている

やり手の警察官が

濡れ衣を着せられて

警察から追われる立場になり

黒幕は警察の内部にあり

疑惑を晴らしていく。

 

ありふれたワザとらしい設定だが

サミュエルジャクソンと

ケヴィン・スペーシーという

名優の迫真の演技と

交渉人というプロ2人の頭脳明晰な判断が

痛快なドラマに仕上げている。

 

影のない役のケヴィン・スペーシーの演技も貴重

 

劇中でシェーンや西部劇の余談を入れる所に

製作者のちょっとした拘りを感じる

 

(1998 アメリカ)

 

 

 

交渉人 (字幕版)

交渉人 (字幕版)