旧作7泊8日メモ

映画の忘備録

レッドプラネット

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主題なき火星珍遊記

★★★★(4)

個人的満足度(3)

 

プチネタバレ

火星に探索に行って命辛々帰ってくると言う話なのだが

映画の柱がないので少し退屈。

 

アポロ13やオデッセイのように

サバイバルを主題にするのか

エイリアンみたいに未知の生物との戦いなのか

ソラリスのような不思議体験なのか

ライトスタッフのような人間劇なのかetc

 

地球から火星に移住しようとテラフォーミングするため

藻を送り込んでたら

未知の虫が巣食ってしまったと言う設定なら

それとの戦いでよかったのに。

仲間割れや宇宙船事故やロボットの反乱や

突然のラブストーリーなど盛り込みすぎてて。。。

結局の主題がないので

バタバタ自演劇が進んで行く感じ。

 SFは荒が多くても好きなんだけども・・・

 

漫画のテラフォーマーズの着想になったのかな?

 

(2000 アメリカ)

 

 

レッド プラネット (字幕版)

レッド プラネット (字幕版)

 

 

マザー!

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監督は楽しいだろうが…

★★★★★★(6)

個人的満足度(6)

 

以下ネタバレ!

 

MY HOME ラブな低血圧そうな草食若妻の家に

かましい一家が舞い込んで

かましさの限りを尽くすことから始まり

そのエピソードがエスカレートするパターンかと思ったら

そこは一段落。

その後旦那の詩が大当たりしてファナティックな民衆が

家に押しかけて前にも増して厚かまし

熱狂はエスカレートして

旦那は神格化され生まれてきた赤ちゃんさえ

民衆の欲望の為の生贄となり

若妻大爆発して

全てを焼き払って終了。

でもそれは

旦那の手のひらの中のエピソードでしか

なかったというような話。

 

聖書の世界を家に置き換えて表現してると言われる。

旦那が神で妻が地球

創世記から始まり

まず厚かましい男性が現れ、その後厚かましい女性が現れ

身勝手な子供達が仲違いをする。

アダムとイブからカインとアベルを匂わせる。

愚かさから家を水浸しにしてしまうのはノアの方舟であり 

民衆のエゴの犠牲となる赤ちゃんがキリストであり

最後は黙示録の如く炎で焼き払われる

 

などなど言われるが・・・

 

ただ監督がこれやりたかったんだろうなぁといった感じ。

だからとてつもなく凄いものではあるけど

聖書の知的遊びは抜いて考えて

前知識なく見た場合に共感を得られるとすると

 

ゲスト達(人)の身勝手な行動から

ホスト(神)の狼狽に共感・・・

なのかな?

共感も難しく

ポカーンとしてしまうかも。

 自分がそうだったし。

 

 

赤ちゃんの肉を食べるというシーンから

日本では公開が中止になった作品。

キリスト教では神の肉を食べるということは尊いことで

聖餐式に教会で神の肉(パン)、神の血(赤ワイン)を食すというのは

身近な行為であるのでこの表現は単純なカニバリズムではなく

宗教的な表現であり比喩であるゆえに必ずしもNGではなかろうが

日本的な感覚からするとブットビますしトラウマになります。

 

ポスターのメインビジュアルも

美しいパステル調のイラストなのに

心臓をくり抜いてるというコントラストの強さが

意図するところなのに

日本版は顔だけトリミングして

心臓消してるので何が何やら分からないビジュアルになってて

日本何やってんだろ?という感じ。

 

なかなかお茶の間感覚では

受け入れられない作品です。

 

 

 

 

(2017 アメリカ)

 

マザー! (字幕版)

マザー! (字幕版)

 

 

 

 

 

クローバーフィールド/HAKAISHA

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怪獣映画かくあるべき

★★★★★★★(7)
個人的満足度(10)

 

 

怪獣映画はこうでなくては!

これがGODZILLAであってくれ。と思ってしまう。

実際に着想はJJ・エイブラムスが来日した際、

キデイランドで見たゴジラのソフビ人形から得られたものとのこと。

 

社会が怪獣に襲われる場合はこういう事だろう。

なぜ襲われたか?どこから現れたかすら判らない。

そういうリアルさが面白い。

アメリカ版ゴジラは過去2作ともゴジラ説明しすぎかも。

 

続編の『10 クローバーフィールド・レーン』は全く別の作品。

どちらも工夫を凝らした面白い出来栄え。

 

2016 アメリカ)

 

 

ミスティック・リバー

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重く深く流れる川のように

★★★★★★★★★(9)
個人的満足度(10)

 

心にトラウマを追った少年と

それに負い目を感じる2人の友人の

四半世紀後の殺人事件を巡って再開する物語。

 

クリント・イーストウッドが描いているものは

流れる時間と変わらぬ心。

 

何が悪いとか誰が悪いとか言わずに

物語は淡々と流れる。

アメリカ建国時代から変わらぬであろう

地方都市の閉塞感のなかで

 

シャッター・アイランドと同じ原作者

デニス・ルヘインの小説の映画化。

螺旋状に入り組んだ物語が絡み合っていく。

物語は素晴らしいけど映画がもたらす空気感や名優達の演技。

 

素晴らしい作品だと思う。

 

昔これをみたときは

そうは思わなかった。

退屈で暗い映画。

今とは全然違う印象を持っていた。

 

いつみるかで映画の印象はガラッと違うんだなぁ〜

 

 

 (2003年・アメリカ)

 

ミスティック・リバー (字幕版)
 

 

バリー・シール/アメリカをはめた男

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ディティールが最高

★★★★★★★★(8)
個人的満足度(10)

 

ディティールが素晴らしい。

音楽、カメラワーク、衣装、仕草、

80年代初頭の空気感がバッチリ再現されている

エンドロールの字幕まで80sで凝りまくり。

けばい配色、VHSのような画質、歪んだギターサウンド

とてもキッチュでPOP。

「アルゴ」と同じようなもの狙ってるんだけど

出来栄えが違う。

神はディティールに宿る。

 

物語はバリー・シールが残したVHSの自撮り証言を挟み

その足取りをハンディカムでテンポよく描く。

南米の熱い気候やローファイな空気まで伝わる。

 

トムクルーズ素晴らしい

下品さを持ったオッサンに見事になりきっている。

全然カッコいいトムではない。

顔もワザとむくんでいる。

お尻出すし。

 

バリー・シールという人は

ちょっと可哀想なトリックスターとして描かれている。

主体性がなく流されやすくゲセワ。

ゆえに利用されやすくムチャブリを断る選択肢は残されてない。

CIAとコロンビアの麻薬組織に利用されて

果てはアメリカ政府にまで利用されてしまう。

 

アメリカのマスコミはすごい。

大統領が七面鳥に恩赦与えるホワイトハウスの恒例行事の

ハッピーな席でレーガン大統領に

コントラ疑惑とか工作疑惑を突っ込んじゃうんだから。

そういう実写映像も上手にカットインされている。

 

パブロ・エスコバル役の役者さんが

お笑い芸人の吉本のハーフ芸人デニスの植野にそっくり

 

原題American Made

 

(2017年 アメリカ)

 

 

遊星からの物体X

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SFホラーの金字塔

★★★★★★★★(8)
個人的満足度(10)

ニューヨーク1997
「遊星からの物体X」
ゼイリブ

etc
ジョン・カーペンターが80年代に残した
大傑作の一つ。

現代版の「遊星からの物体Xファーストコンタクト」
と続けて見ると特殊メイクは拙いが
やはり本家は重厚感があってよい。

自分は中学生の頃初めて見たのだけれど
化け物と思春期が相まって
すっかりトラウマ映画になっている。
血液検査のシーンなど
心臓が止まるかと思った。



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この映画の魅力は
宇宙人・南極・擬態・パンデミック・疑心暗鬼。
それをシリアスにクソマジメに表現しきるところ。
ダイハード以降のハリウッド映画のようなゴキゲンなエンタメではなく、
あり得ない設定を暗く、どこまでもシリアスに。

そこがカーペンターの持ち味でもある。
エンニオ・モリコーネの暗くて重い音楽も雰囲気バッチリ。
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その後の90年代、2000年代と
カーペンターの作品を見ると、

面白いのだがやはり70末〜80年代のものが突出している。
フォッグやハロウィンなどなど。


クリエイターが世に送り出す
充実した作品というのは延々に作れるものではなく
人生のどこか一瞬だけ神様から与えられる贈り物のようなのね?

時代との噛み合わせもあるのかなぁ。

 

(1982/アメリカ)

 

遊星からの物体X (字幕版)

遊星からの物体X (字幕版)

 

 

 

 

 

 

シンゴジラ

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ゴジラシリーズの最高峰(ではあるが…)

★★★★★★(8)

個人的満足度(7)

 

怪獣映画としては全体の3割くらい。
他7割は右往左往する人間劇。

それをリアルではなく
寸劇として表現している。
大袈裟にカリカチュアライズして演じる感じ。

その寸劇感を是とするか非とするかで
受け手の評価がガラッと変わる作品。


自分は劇場公開時はまるで感情移入できなかった。
世間が高評価すぎて期待値を上げすぎていたせいもある。

 

いまになって承知の上で見返すと
意外に面白い。
劇場で集中してみるより
ビデオで見た方が(いい意味で)合っている。

登場人物に感情移入して手に汗握ってみるものではなく
肩の力を抜いて俯瞰から眺めるような作り。

元々肩の力が抜けた冷笑系現代社会にはマッチしたのかな?
ネット民の心を掴んでSNSを発端に大ムーブメントが巻き起こった。
それはとてもドメスティックな感性によるもの。
万引き家族」や「カメラを止めるな!
のように海外からも共感を受けるものではない。
アニメ的なわざとらしいセリフ回しや寸劇感は
あくまで日本社会が共有出来る感覚。

ゴジラを災いと捉える原点回帰は大正解だし
ゴジラ映画の中では最高。。。なんだけど・・・

ちょっと過大評価過ぎでは。。。


     (2016 日本)

 

シン・ゴジラ

シン・ゴジラ