クローバーフィールド/HAKAISHA
怪獣映画かくあるべき
★★★★★★★☆☆☆(7)
個人的満足度(10)
怪獣映画はこうでなくては!
これがGODZILLAであってくれ。と思ってしまう。
実際に着想はJ・J・エイブラムスが来日した際、
キデイランドで見たゴジラのソフビ人形から得られたものとのこと。
社会が怪獣に襲われる場合はこういう事だろう。
なぜ襲われたか?どこから現れたかすら判らない。
そういうリアルさが面白い。
続編の『10 クローバーフィールド・レーン』は全く別の作品。
どちらも工夫を凝らした面白い出来栄え。
(2016 アメリカ)
ミスティック・リバー
重く深く流れる川のように
★★★★★★★★★☆(9)
個人的満足度(10)
心にトラウマを追った少年と
それに負い目を感じる2人の友人の
四半世紀後の殺人事件を巡って再開する物語。
クリント・イーストウッドが描いているものは
流れる時間と変わらぬ心。
何が悪いとか誰が悪いとか言わずに
物語は淡々と流れる。
アメリカ建国時代から変わらぬであろう
地方都市の閉塞感のなかで
シャッター・アイランドと同じ原作者
デニス・ルヘインの小説の映画化。
螺旋状に入り組んだ物語が絡み合っていく。
物語は素晴らしいけど映画がもたらす空気感や名優達の演技。
素晴らしい作品だと思う。
昔これをみたときは
そうは思わなかった。
退屈で暗い映画。
今とは全然違う印象を持っていた。
いつみるかで映画の印象はガラッと違うんだなぁ〜
(2003年・アメリカ)
バリー・シール/アメリカをはめた男
ディティールが最高
★★★★★★★★☆☆(8)
個人的満足度(10)
ディティールが素晴らしい。
音楽、カメラワーク、衣装、仕草、
80年代初頭の空気感がバッチリ再現されている
エンドロールの字幕まで80’sで凝りまくり。
けばい配色、VHSのような画質、歪んだギターサウンド
とてもキッチュでPOP。
「アルゴ」と同じようなもの狙ってるんだけど
出来栄えが違う。
神はディティールに宿る。
物語はバリー・シールが残したVHSの自撮り証言を挟み
その足取りをハンディカムでテンポよく描く。
南米の熱い気候やローファイな空気まで伝わる。
トムクルーズ素晴らしい
下品さを持ったオッサンに見事になりきっている。
全然カッコいいトムではない。
顔もワザとむくんでいる。
お尻出すし。
バリー・シールという人は
ちょっと可哀想なトリックスターとして描かれている。
主体性がなく流されやすくゲセワ。
ゆえに利用されやすくムチャブリを断る選択肢は残されてない。
CIAとコロンビアの麻薬組織に利用されて
果てはアメリカ政府にまで利用されてしまう。
アメリカのマスコミはすごい。
ハッピーな席でレーガン大統領に
コントラ疑惑とか工作疑惑を突っ込んじゃうんだから。
そういう実写映像も上手にカットインされている。
パブロ・エスコバル役の役者さんが
お笑い芸人の吉本のハーフ芸人デニスの植野にそっくり
原題: American Made
(2017年 アメリカ)
遊星からの物体X
SFホラーの金字塔
★★★★★★★★☆☆(8)
個人的満足度(10)
「ニューヨーク1997」
「遊星からの物体X」
「ゼイリブ」
etc
ジョン・カーペンターが80年代に残した
大傑作の一つ。
現代版の「遊星からの物体Xファーストコンタクト」
と続けて見ると特殊メイクは拙いが
やはり本家は重厚感があってよい。
自分は中学生の頃初めて見たのだけれど
化け物と思春期が相まって
すっかりトラウマ映画になっている。
血液検査のシーンなど
心臓が止まるかと思った。
この映画の魅力は
宇宙人・南極・擬態・パンデミック・疑心暗鬼。
それをシリアスにクソマジメに表現しきるところ。
ダイハード以降のハリウッド映画のようなゴキゲンなエンタメではなく、
あり得ない設定を暗く、どこまでもシリアスに。
そこがカーペンターの持ち味でもある。
エンニオ・モリコーネの暗くて重い音楽も雰囲気バッチリ。
その後の90年代、2000年代と
カーペンターの作品を見ると、
面白いのだがやはり70末〜80年代のものが突出している。
フォッグやハロウィンなどなど。
クリエイターが世に送り出す
充実した作品というのは延々に作れるものではなく
人生のどこか一瞬だけ神様から与えられる贈り物のようなのね?
時代との噛み合わせもあるのかなぁ。
(1982/アメリカ)
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シンゴジラ
ゴジラシリーズの最高峰(ではあるが…)
★★★★★★★★☆☆(8)
個人的満足度(7)
怪獣映画としては全体の3割くらい。
他7割は右往左往する人間劇。
それをリアルではなく
寸劇として表現している。
大袈裟にカリカチュアライズして演じる感じ。
その寸劇感を是とするか非とするかで
受け手の評価がガラッと変わる作品。
自分は劇場公開時はまるで感情移入できなかった。
世間が高評価すぎて期待値を上げすぎていたせいもある。
いまになって承知の上で見返すと
意外に面白い。
劇場で集中してみるより
ビデオで見た方が(いい意味で)合っている。
登場人物に感情移入して手に汗握ってみるものではなく
肩の力を抜いて俯瞰から眺めるような作り。
元々肩の力が抜けた冷笑系現代社会にはマッチしたのかな?
ネット民の心を掴んでSNSを発端に大ムーブメントが巻き起こった。
それはとてもドメスティックな感性によるもの。
「万引き家族」や「カメラを止めるな!」
のように海外からも共感を受けるものではない。
アニメ的なわざとらしいセリフ回しや寸劇感は
あくまで日本社会が共有出来る感覚。
ゴジラを災いと捉える原点回帰は大正解だし
ゴジラ映画の中では最高。。。なんだけど・・・
ちょっと過大評価過ぎでは。。。
(2016 日本)
遊星からの物体X ファーストコンタクト
ジョン・カーペンター版をリメイク
★★★★★★☆☆☆☆(6)
個人的満足度(9)
SFホラーの傑作ジョン・カーペンター監督の
1982年リメイク版「遊星からの物体X」を
更にリメイク。
前作の3日前の南極ノルウェー基地での出来事を描く。
カーペンター版の
さりげなくも映画のセオリーをど返ししてる事として
女性が一人も出てこない。
現代版の思い切ったところは
女性をあえて主役にしている。
変化として無骨すぎず良い効果が出ている。
全体的にはカーペンター版へのリスペクトが
随所に見られる。
ただやれる事・やられる事は同じであるし
クリーチャーの造形も変えづらいし
既出感はかなりある。
前作を凌ぐような展開も見られない。
とはいえ
リメイクとしては
とても良く出来ていて
十分に楽しい。
実際に、取り込んだ細胞に擬態できる事で
人間取り込んでその人になりきってしまうような
エイリアンが南極観測所ではなく街に舞い込んでしまったら
人類は滅亡しちゃいそう。。。
そして1982年版に続く。
(2011年/アメリカ・カナダ)
カメラを止めるな!
ハイテンションムービー
★★★★★★★★★★(10)
個人的満足度(10)
物語の隅々に漂うヤケクソ感が良い。
状況を追い詰めて開き直りやヤケクソが
ハイテンションなドライブ感を生み出している。
舞台からインスパイアされたという緻密な脚本も
日本のインディペンデントらしくて良い。
監督の上田慎一郎のサクセスストーリーのみならず
濱津隆之、秋山ゆずきら出演してる俳優たちも
スターダムに押し上げたのではないか。
ゾンビ映画のパロディ的なものは
古くはバタリアンなどたくさんあるけど
近年面白かったゾンビランドを軽く凌駕した。
こんなにゾンビ達が愛おしく見えることはない。
大傑作。
前情報0で見た方が面白いとか
言われてるけど前情入っても十分面白い。
(2018 日本)