シンゴジラ
ゴジラシリーズの最高峰(ではあるが…)
★★★★★★★★☆☆(8)
個人的満足度(7)
怪獣映画としては全体の3割くらい。
他7割は右往左往する人間劇。
それをリアルではなく
寸劇として表現している。
大袈裟にカリカチュアライズして演じる感じ。
その寸劇感を是とするか非とするかで
受け手の評価がガラッと変わる作品。
自分は劇場公開時はまるで感情移入できなかった。
世間が高評価すぎて期待値を上げすぎていたせいもある。
いまになって承知の上で見返すと
意外に面白い。
劇場で集中してみるより
ビデオで見た方が(いい意味で)合っている。
登場人物に感情移入して手に汗握ってみるものではなく
肩の力を抜いて俯瞰から眺めるような作り。
元々肩の力が抜けた冷笑系現代社会にはマッチしたのかな?
ネット民の心を掴んでSNSを発端に大ムーブメントが巻き起こった。
それはとてもドメスティックな感性によるもの。
「万引き家族」や「カメラを止めるな!」
のように海外からも共感を受けるものではない。
アニメ的なわざとらしいセリフ回しや寸劇感は
あくまで日本社会が共有出来る感覚。
ゴジラを災いと捉える原点回帰は大正解だし
ゴジラ映画の中では最高。。。なんだけど・・・
ちょっと過大評価過ぎでは。。。
(2016 日本)
遊星からの物体X ファーストコンタクト
ジョン・カーペンター版をリメイク
★★★★★★☆☆☆☆(6)
個人的満足度(9)
SFホラーの傑作ジョン・カーペンター監督の
1982年リメイク版「遊星からの物体X」を
更にリメイク。
前作の3日前の南極ノルウェー基地での出来事を描く。
カーペンター版の
さりげなくも映画のセオリーをど返ししてる事として
女性が一人も出てこない。
現代版の思い切ったところは
女性をあえて主役にしている。
変化として無骨すぎず良い効果が出ている。
全体的にはカーペンター版へのリスペクトが
随所に見られる。
ただやれる事・やられる事は同じであるし
クリーチャーの造形も変えづらいし
既出感はかなりある。
前作を凌ぐような展開も見られない。
とはいえ
リメイクとしては
とても良く出来ていて
十分に楽しい。
実際に、取り込んだ細胞に擬態できる事で
人間取り込んでその人になりきってしまうような
エイリアンが南極観測所ではなく街に舞い込んでしまったら
人類は滅亡しちゃいそう。。。
そして1982年版に続く。
(2011年/アメリカ・カナダ)
カメラを止めるな!
ハイテンションムービー
★★★★★★★★★★(10)
個人的満足度(10)
物語の隅々に漂うヤケクソ感が良い。
状況を追い詰めて開き直りやヤケクソが
ハイテンションなドライブ感を生み出している。
舞台からインスパイアされたという緻密な脚本も
日本のインディペンデントらしくて良い。
監督の上田慎一郎のサクセスストーリーのみならず
濱津隆之、秋山ゆずきら出演してる俳優たちも
スターダムに押し上げたのではないか。
ゾンビ映画のパロディ的なものは
古くはバタリアンなどたくさんあるけど
近年面白かったゾンビランドを軽く凌駕した。
こんなにゾンビ達が愛おしく見えることはない。
大傑作。
前情報0で見た方が面白いとか
言われてるけど前情入っても十分面白い。
(2018 日本)
アイズ ワイド シャット
夢オチではないが夢オチのような
★★★★★★★★★☆(9)
個人的満足度(10)
かれこれ20年前の公開なのに
大好きなキューブリックの遺作なのに
夫婦間のSEXにまつわる秘め事的な映画と決めつけて
興味なく見てなかったんだけど、
当たらずも遠からずなんだが
意外にも面白かった。
以下ネタバレ
けん怠期が始まろうという夫婦の
奥さんは夫の浮気を疑い(浮気してない)
夫は奥さんから話された妄想での浮気(浮気してない)に嫉妬し
その嫉妬から破天荒を試みるもどうもうまくいかず
最後に泣きながら奥さんに全てを告白して
奥さんから我々に今必要なのは「ファック」
という言葉で
幕を閉じる。
ザックリはこんな物語なのだが
映画の見せ場は秘密の乱交パーティーへの
トムクルーズの潜入/からの危機。
デカダンスでスリリングな展開もありつつなんだが
終ってみれば、「必要なのはファック」を言いたいがためと思える
2時間半という大作。
巨匠キューブリックの遺作の最後の言葉がFUCK。
キューブリックらしくてとても良い最後だった。
物語とは関係無いけど
欧米の不倫の感覚って
もう少し軽くて開放的なのかな?と思っていたんだけど
意外に純情で、秘め事として片付けないで
浮気をしたら夫婦契約解消も厭わず。
といった己れと制度への厳しさを感じて、
欧米での驚異の離婚率というのは
結婚に対する意識が軽いという単純なものではなく
制度を裏切らないという
逆に真摯であり重いのかなという印象を受けました。
美しいニコール・キッドマンの
脱ぎっぷりと妄想SEXシーンが
いさぎよすぎ。
(1999 イギリス・アメリカ)
LOOPER/ルーパー
HUNTED BY YOUR FUTURE
★★★★★★★★☆☆(8)
個人的満足度(10)
SF好きにはタマラン掘り出し物!
よく練られたタイムループもの
巨額の予算をかけてるでもない
プロットの面白さで見せる
アメドラテイストなSF映画
(実際アメドラ撮ってた監督なのね)
未来の犯罪組織が殺したい対象を捕獲して
30年前の過去に送りそこで待ち構えてる
LOOPERという殺し屋が処分する。
(未来社会は証拠を残さず人間を抹殺できる)
あるとき主人公のLOOPERの30年後の自分自身が
未来からやってくる
「レインメーカー」と呼ばれる
犯罪組織の王を幼少時代に暗殺するために。
そして自分の未来を変えるために。
といった物語
まぁ良く出来ています
タイムループは憎悪のループにもなりえて
その憎悪のループを断ち切るためには?
という重いテーマも
プロットが秀逸ゆえに
生まれてくる。
監督・脚本の
ライアン・ジョンソンはこの作品の次作、2017年に
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の監督・脚本を担当する
大出世
(2012 アメリカ・中国)
宇宙戦争
古典SFを直球表現
★★★★★☆☆☆☆☆(5)
個人的満足度(5)
H・G・ウェルズの古典SFに真正面から取り組むと
これだよなぁ。(こうなっちゃうよなぁ)というもの。
潔さすらある。
ティムバートンの
マーズアタックみたいに捻って取り組むとかしないと
なかなか難しいであろう原作ではある
スピルバーグ監督に
ジョンウィリアムズの音楽というのも王道感。
トムクルーズ演じるは一般大衆の悩めるお父さん。
物語に対して関係がない家族愛を過剰目で演じてます。
よく出演したよなぁ〜。
プロデューサーでもあるから
ノリノリなんだろうけど。
チョイ役にティム・ロビンス
チョイナレーターにモーガン・フリーマン
という名優を贅沢に使ってます。
こういうハリウッドだから成せる
壮大なパニックSFものも
良いなぁ〜
(2005 アメリカ)
セブン
不朽のダーク名作
★★★★★★★★★★★(10)
個人的満足度(10)
映画デビュー作の「エイリアン3」で大コケして
もう映画は撮らん!と言っていた映像作家の
デヴィッド・フィンチャーの監督としての名声を確立した
不朽の名作。もう20年前の作品になる。
ダンテの「7つの大罪」に沿って殺人が進む。
かつては「その結末はご都合よすぎやろ」
と思っていたけど今見ると完璧に見える。
脚本が素晴らしい。グロテスクな映像美も作品の重厚感を演出する。
そして役者が素晴らしい。
つくづくモーガンフリーマンは良い役者だと思う。
演技がさりげなく自然。
ブラピの派手な演技との相性もいい。
そしてケビン・スペイシーの
変態な演技は素晴らしい。
もう新作は観られないであろう
筋金入り変態の演技は迫力が違う。
(1995 アメリカ)