旧作7泊8日メモ

映画の忘備録

パージ

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オバカな設定を
マジメ作られてて意外に面白い

★★★★★☆☆☆☆☆(5)


平和で犯罪率も低い近未来国家。
国民のガス抜きのために
1年で1晩だけどんな殺人も合法になる、
「パージ」をめぐる家族の物語。

殺人ゲームを客観視する映画というのは
ソウとかキューブとか
バトルロワイアルとかライアーゲームとか…
そんなジャンルなのかな?
とても漫画的。何も考えず見られる。


殺人合法ナイトという
SF級オバカ設定なんだけど
真面目にシリアスに取り組んでいる。
設定が壮大ではあるが
物語は一軒家の中で展開される密室劇、
ドラマ並な低予算映画。
アメリカで公開週の興行収入1位になっている
続編が2つも作られているろいうのも
殺しOK「パージ」という設定が秀逸なんだろう。

ただし見終わった際には
なにも残らないけど。

劇場でお金払って見るのはシンドイけど
ビデオや配信で見るぶんにはいい感じ


(2013 アメリカ)

 

 

ダンサー・イン・ザ・ダーク

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主人公テルマの不幸物語。

★★★★★★★★☆☆(8)



一応ミュージカルであります。
現実のリアルな箇所は
ハンディカムのインディー映画のような
手持ち映像。

テルマの脳内HAPPYな幻想の箇所は
ミュージカルであり、
メジャー映画的な撮影・編集方法による映像。

そして
最後の曲だけは
ハンディカムの手持ち映像、
つまり現実の中の歌になっている。


「あ〜それ言っちゃダメじゃん」
「そこ言わなきゃダメじゃん」


のテルマの不器用すぎる生き方の
歯がゆさを見る映画でしょうか。

 

見る側が物語に入り込んでる箇所で
ミュージカルをぶち込んでくるのが
ちょっとシンドイ箇所もある。
歌が長いと感じる箇所もある。
ただ送り手からすると
歌の箇所が大切なのだろうと思う

 

テルマを演じるビョークの声は
カナリアの如く美しい。
喋り声がすでに音楽のよう。


ラース・フォン・トリアー監督

 

(2000年デンマーク

 

ダンサー・イン・ザ・ダーク(Blu-ray Disc)

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ファーゴ

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コーエン兄弟の最高傑作

★★★★★★★★★★(10)

実話の映画化といいながらのフィクションは多い。
でもこれは冒頭に

「この物語は実話である。生存者の希望により名前は変えてあるが
出来るだけ忠実に事件を再現している」

と潔いテロップから始まる。

 

以下ネタバレ

 

実話であるのにこの物語の展開の面白さたるや。
こんな偶発的な事件が実際あったのか!!!
1時間38分という短めの物語に
娯楽性と狂気が宿っている。
すげぇぇぇ
と調べてみると

 

 

 

なんとフィクション(><)


冒頭のテロップ自体が演出だそうである。


一応似た事件は起こっているらしいが
ほとんど創作。

 

マジか!(><)


それアリなのか?
確かにシリアスで重厚な物語ではあるが
展開が出来すぎていることと
登場人物の訛りすぎの台詞回しなど
ブラックコメディのジャンルにも入るらしい。

やられた

自分のような生真面目な日本人には
わからんです。純粋にシリアスに楽しめます。

 

2001年に東京在住の日本人女性が、
映画の舞台の街で凍死しているのが発見され、
映画冒頭の演出文を真実と受け取った女性が、劇中雪の中に埋めた大金を
探して遭難したと報道されたらしい。
(実際には自殺だったのが
誤った伝聞と訳で都市伝説化され報道されたらしい)

 

 物語途中でてくる日系人のハヤシダと
最後の切手にまつわるピロートーク
物語とはほとんど関係ない。。。

コーエン兄弟のユーモアなのかなぁ

 

まぁ面白い作品です。

 

2014年のシリーズドラマの「ファーゴ」は
こちらのリメイクではなくインスパイヤされた
リブート作品とのこと。

冒頭に同じ

「この物語は実話である。生存者の希望により名前は変えてあるが
出来るだけ忠実に事件を再現している」

テロップから始まります。

 

 (1996年 アメリカ)

 

 

 

 

 

 

 

アメリカン・ビューティー

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ブラックユーモアに満ち溢れ

★★★★★★★★★☆(9)

絵に描いたようなアメリカ中流階級
家庭の崩壊をブラックユーモアたっぷりに描く

主人公ダメ夫レスター。
強い妻。
厨二病コジラセ娘の3人家族


向かいに引っ越してきた家庭が
父が厳格マッチョで海兵隊上がりの差別主義者
母は精神を病み
息子はサイコで麻薬ディーラーでジャンキー

登場人物全員変態。

お隣のゲイのカップルだけがまともな人。

 

不思議なジャンルの映画
アメリカ人がゲラゲラ笑いながら観る類の
映画なのかなぁ??

悪意に満ちたユーモアで
ストーリーは展開される。

ドロドロなのに最後に
レスターが「幸せだ」と答える
なんか納得なような気もする

 

ケビン・スペイシーが変態で
最高の演技をしてるのだけど
先般のmetooの告発で実際にリアル変態で
もうスクリーンでは新作は見られないかもしれませぬ。

 

99年アカデミー賞作品賞、監督賞、
主演男優賞、脚本賞、撮影賞5部門受賞
ゴールデングローブ賞作品賞、
英国アカデミー賞作品賞、
トロント国際映画祭観客賞etc

(1999年 アメリカ)

 

 

アメリカン・ビューティー [Blu-ray]

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フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ

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ディックファン号泣の素晴らしいドラマ

★★★★★★★★☆☆(8)

PKディックの短編小説を

現代のテイストに置き換えることで

ディックが描いた警鐘や夢を

今の社会に問うような作品になっている。

 

人権の抑圧・全体主義・共産社会への恐怖

合理化の行く末・プロパガンダ・ロボット社会への恐怖・

思想による社会の分断・権力による洗脳 etc

 

 

1. 真生活
未来の女性警察官が、聡明なゲームデザイナーと頭脳を共有し、恐ろしい計画を立てた暴力的な殺人鬼たちを追跡する。

時空を超えて2人の意識が混ざり合うというのは面白い
アマゾンプライムにおいてはエピソード1

原作「展示品」(1954)
論創社ダーク・ファンタジー・コレクション『人間狩り』収録)

 

2. 自動工場
我々が知る世の中がもはや崩壊しているにもかかわらず、ある巨大な自動生産体制の工場は、消費者主義の原理にのっとり稼働し続けていた。

量産を続ける自動工場に社会主義的なアイロニーを感じられる良作
ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか考えさせられる深さ

原作「自動工場」(1955)
(ハヤカワ文庫SF『時間飛行士へのささやかな贈物』収録)
(ハヤカワ文庫SF『ペイチェック - ディック作品集』収録)

 

3. 人間らしさ
愛のない結婚生活に悩む女性が、ある日突然、彼女を精神的に苦しめてきた夫の魂が何者かに乗っ取られたことに気づく。だが驚くことに、夫は優しくなっていた。

PKディックの作品によく出てくるテーマ、本物の価値がある偽物は偽物?てきな 

原作「人間らしさ」(1955)
(ハヤカワ文庫SF『時間飛行士へのささやかな贈物』収録)

 

4. クレイジー・ダイアモンド
平凡な男エドの前にセクシーな人造人間の女性が現れ、彼の人生を一変させるかもしれない違法な計画を持ちかける。

エンディングに現実なのか幻想なのかよくわからなくなるのはPKディックの王道

原作「CM地獄」(1954)
(ハヤカワ文庫SF『変数人間』収録)

  

5. フード・メーカー
高度なテクノロジーがない世界では、テレパシーのできるミュータントだけが、遠距離通信の唯一の手段になっていた。

このドラマがイギリスのチャンネル4で初放送された際のエピソード1
制作費も一番かかっている感じ。
水草が川にそよめくオープニングは
タルコフスキー惑星ソラリスへのオマージュ?

原作「フード・メーカー」(1955)
(ハヤカワ文庫SF『トータル・リコール』収録)

 

6. 安全第一
小さな町で育った少女が、社会に不安を抱きながらも、母親とともに未来的な大都市へと移り住む。セキュリティーとテロ対策が重視される都会の暮らしは初めてで、学校生活も恐怖と妄想に駆られる日々となる。

権力による管理社会へのアイロニー

原作「フォスター、おまえはもう死んでるぞ」(1955)
(ハヤカワ文庫SF『人間以前』収録)

 

7. 父さんに似たもの
エイリアンが密かに家々を侵略し、世界が危機にさらされていた。幼い主人公のチャーリーは、人々が危険なモンスターに変えられていることに気づき、想像を絶する困難な選択を迫られる。

PKディックというよりスティーブンキングのB級作品っぽい
少年たちが力を合わせてバケモノと戦う感じも

原作「父さんもどき」(1954)
(ハヤカワ文庫SF『人間以前』収録)

 

8. ありえざる星
安っぽいツアーばかりを請け負う2人のもとに、もうろくしたと思しき老女が現れ、地球へ戻る旅をリクエストする。

どう捉えたらいいのか?
嘘も方便みたいな?

原作「ありえざる星」(1953)
(ハヤカワ文庫NV『地図にない町』収録) 

 

9. 地図にない町
交通局の平凡な駅員が、ある日、一部の乗客たちが存在しないはずの町に向かっていることを知る。

生活の中の不幸を消し去ることができる街で
精神疾患が徐々に悪化することで暴力をふるう
息子を忘れ去るも、
その不幸が自分の運命であり
本当の家族の幸せなのではないか?
といったところまで立ち返る
地味ながら良くできた1篇

原作「地図にない町」(1953)
(ハヤカワ文庫SF『人間以前』収録)

 

10. よそ者を殺せ
広告板から死体がつるされていた。見るからに殺人事件だったが、ある政治家が暴力を勧める声明を出したことで、人々は不可解なことに素知らぬ顔で通り過ぎていく。

未来社会、よそ者を殺せと
政治家がスローガンを謳う。
人々はそのスローガンを批判することはなく
批判するとよそ者と認定されてしまう。
今の社会に警鐘を鳴らすような内容。

原作「吊されたよそ者」(1953)
(ハヤカワ文庫SF『トータル・リコール』収録)

 

 

(2017年 イギリス/アメリカ合作)

 

 

 

トレインスポッティング

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 ウンチまる映し映画

★★★★★★★★★★(10)

こんなに露骨にウンコを映す映画は

他にあったっけ?

と思えるくらい描写が汚く

ブラックユーモアに満ち満ちている。

でも公開時はトマトのアートワークや

アンダーワールドの音楽と共に

オシャレ映画感ぽく打ち出してた。

その気で観たオシャレ女子は

ぶっ飛んただろう。

スコットランドの底辺にあえぐ

若者たちを描く青春映画。

こういうの見るとイギリスの

フーリガンとか納得できてしまう。

 

まさかチンチン出して汚物まみれになってる

主人公がその数年後大出世して

オビワンとして

ジェダイの騎士になろうかとは

予想もできなかったし

まさか公開から20年して

キャストや監督そのままで

続編が作られようとは

思ってもいなかった。

サントラが最高

 

(1996年 イギリス)

 

トレインスポッティング [Blu-ray]

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オブリビオン

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プロダクトデザイン究極

★★★★★★★☆☆☆(7)

オール・ユー・ニード・イズ・キル

マイノリティ・リポート

宇宙戦争

そしてコレ。

トムクルーズは果敢にSFに挑む。

それはややB級おびて

SF然としている。

そして自分はそういうSFは大好物。

 

 

現実と虚構の曖昧加減からの

謎展開からの謎の敵、自分探し、

などなど。

 

これは少し物語が都合よく進みすぎて

ツッコミどころは多々ある。

人物の描写も弱い。

その辺差し引いてもSF王道でとても良い。

 

そしてメカデザインは特出。

主人公が乗る探査船、

凶暴なドローン、

彼らが暮らすステーション

デザインありきの企画?と思えるくらい

クオリティーが高い。

 

聞きなれない

ジョセフ・コシンスキー監督は

プロフィールに

スタンフォード大学工学部

機械工学デザイン科を卒業後、

コロンビア大学建築大学院修士課程修了。

とあり

デザイン性に優れた 

演出は納得。

トロン: レガシー (2010) が初監督作。

 

(2013年 アメリカ)