テラフォーマーズ
攻めてる日本映画
総 合★★★★★★☆☆☆☆(6)
満足度★★★★★★★★☆☆(8)
日本映画がここまで
ド直球にSF映画に挑むことは
喜ばしいこと。
人気漫画の実写化なので成し得たことではあるけど
こういう作品が漫画というバックボーンがなくとも
突如作られるようになってほしい。
多数の登場人物
その各々の過去
各々の虫の解説
火星でのミッション…etc
物語に沢山の事を
詰め込んでいるが
よくまとまっている。
ただし物語は風呂敷を広げすぎて
回収不能になって
無敵無数のゴキブリを爆発1発で
全部片付けちゃうとか都合よすぎる箇所も多々ある。
スピード感とテンポは良いので
見ていて退屈しない。
だから漫画実写=三池崇史監督なんだろうけど
そこは冒険があってもいいのかも。
ゴキブリ人間の難しい造形を
CGでやろうとか、よく選択したなぁと思う。
おかげで面白い動きが出来ている。
全体にはCGは頑張っているが
メジャー作品として劇場公開するような
レベルには達してないお粗末な箇所もまだまだ多い。
ただし攻めてる日本映画。
余談ではあるが
ジャニーズの山下智久も出演しているが
映画のポスターからバッサリ排除されてるのは
本人にも作品にも何一つ得はない。
ジャニーズ事務所のブロマイド時代の間違った肖像権管理は
早く改善した方がいい
(2016 日本)
ロリータ
食わず嫌いアカン
総 合★★★★★★★★☆☆(8)
満足度★★★★★★★★★★(10)
スタンリー・キューブリック1962年の作品。
ロリコンの語源にもなってるメジャー作品だが
アイズワイドシャットと同様、性癖系映画と決めつけ
食わず嫌いで観てなかった。
当初思ってた変態映画では全然なかった。
儚い文学性が感じ取れる良い作品だった。娯楽性も高い。
オヤジのやるせない純愛物語。
主人公のハンバート教授がロリータと知り合ったのが
36歳、最後のシーンが41歳。。。
今は36歳独身男が10代の少女に恋をしても(特にロリータ役のスー・リオンなら)全然不思議じゃないけど、小説が書かれた1955だと異常なことだったようだ。
映画も今では考えられないような厳しい制約を受けながら制作をしていて
ハンバート教授とロリータのエロティックな場面などは描けていないらしい。
ナインハーフや危険な情事のエイドリアン・ライン監督が1997年に、より原作の小説に忠実に映画化しているが$62,000,000の制作費に興行収入が$1,071,255とはボロコケ。。。
忠実に描けば支持されるというものでもないようだ
しかし切ない。
原作の結末をWikiで知ったが原作は更なるバッドエンド。
視聴者も昔なら「ロリータ」と書かれたDVDをレンタルするのは
何か世間の目が気になって恥ずかしかったりするが
今はアマゾンプライムで見られてしまう良い時代。
重ね重ね変態映画じゃありません
(1962年 アメリカ・イギリス)
コラテラル
真面目な殺し屋と真面目なタクシー運転手
総 合★★★★★★★★☆☆(8)
満足度★★★★★★★★★☆(9)
コラテラル=巻き添え
タクシーの運転手が殺し屋を乗せてしまったことから
殺しに巻き込まれる物語。
トム・クルーズがロマンスグレーの悪役を演じる。
物語の主役はタクシー運転手の
ジェイミー・フォックスって感じがしなくもないが
トムの冷徹だが物悲しさも抱えた殺し屋の存在感は凄い。
でも冷徹やり手な殺し屋が
運転手だけ待たせて殺しの仕事するつもりが殺した対象をビルの窓から落としてしまい
しかも死体は待機してたタクシーの上に落下して運転手に正体を悟られてしまうミスを犯したり
当日の殺しの計画を暗記していないというありえないミスに加えて
計画書を書いた大切なブリーフケースを待たせたタクシーに残したまま
殺しに出かけていく無防備さを披露したり
その計画書をタクシー運転手に破棄されてしまうという致命的なミスを犯し
性懲りも無く最後は殺しの対象が書かれた資料をタクシーに残したまま殺しに向かう。
そんなうっかりさんなのだが、トムのあくまでも冷徹な仕事出来る殺し屋演技でカバー。
ツッコミどころは進行上は気にならない。
やり手の殺し屋がクライアントに
「すいません資料無くしたので再発行お願いします」
と替え玉使って頼みにいくなんていうシーンは
よくよく考えたら間抜けで共感をもった
物語の展開と演出が素晴らしいのだが
その中できちんと二人の心の動きや悲哀や人間性が描けているのが
さすがはマイケル・マン。
トム・クルーズの数ある出演作の中でも
評価が高い作品の1つ。
(2004年 アメリカ)
鑑定士と顔のない依頼人
恋愛ミステリー
★★★★★★★★☆☆(8)
個人的満足度(8)
ジュゼッペ・トルナトーレ監督・脚本による2013年のイタリア映画。
映画音楽はエンニオ・モリコーネの
ニューシネマパラダイスコンビ。
一見地味で小難しそうな雰囲気だが
内容はハリウッド映画のような
明快単純な恋愛ミステリー映画。
以下ネタバレ
オチバレ注意
終わってみれば
美術鑑定士の金持ちの老人が美人局にあった話で
騙される過程で老人は初めて詐欺犯女性と愛に落ちる。
実は騙されていた虚構の愛であり
見返りに数千億円の資産を失う。
それでも尚、
騙した女性を愛し彼女を求めて映画は終わる。
後味は悪いが
経験できたことは老人の人生においては
失った数千億円よりも価値があることなのではないか?
とも思えたりする。
そういったメッセージは映画全般に仕込まれている。
「贋作絵画であってもどこかに贋作作家の本物が出てしまう」
といったように。偽恋愛でも。
ただ仕掛けが突拍子もなくリアリティは欠いてるわけで
深い話でもなく
難しい話でもなく
良くできたエンタメ作品。
(2013年 イタリア)
HEAT/ヒート
キレキレの決闘劇
★★★★★★★★☆☆(8)
個人的満足度(8)
ギャングの世界しか
自分の表現手段がない男と
同じく刑事しか
自分の表現手段がない男と
違いを認め合いながら戦う男2人
漂いまくる哀愁。
あまり笑わない怖いデニーロの演技は最高。
同じくピリピリ神経質でワーカホリックな
アルパチーノも最高。
ゴッドファーザーIIでは共演シーンはないので
初共演作ということになる。
脇役も豪華名優だらけ。
強盗シーンや
銃撃シーンの重厚でシャープな見せ方は
さすがはマイアミバイスやスタスキー&ハッチなど
男ドラマでの叩き上げマイケル・マン
凄く迫力がある。
カシャっていう銃のブローバックの音一つとっても違うと思ってたら
やはり本物の銃で撮影してるし、
役者には実弾射撃で演技練習してもらってる
発射音も実物のものを使っているとのこと。
銃へのこだわりようハンパない。
クリストファー・ノーランがダークナイトを作るにあたって
この映画を研究したというのも頷ける。
キレキレ
(1994年 アメリカ)
野火
グロいが観れてしまう
★★★★★★★☆☆☆(7)
個人的満足度(7)
大岡昇平の原作に沿って
塚本晋也監督が主演までこなした力作。
戦時下ジャングルの中の追い詰められた日本兵たちの
異常や悲惨を描く。
グロ映画を撮りたかったのかな?
と思えるほどグロいシーンもあるのが。。。
テンポが良くてあっっというまに観られる
音の大小のレンジが広すぎて
ボソボソ囁くセリフが多く聞き取れないから
ボリュームをあげると
爆音で効果音や音楽が入り
まぁ聞きにくい。
「生きるために仲間と力を合わせる」
↓
「生きるために仲間から奪う」
↓
「生きるために仲間を食べる」
まで行き着きそうな究極を体験してしまった人たちは
一生消えないトラウマを抱えて
それが野火であり
重いテーマです。
(2014 日本)