シャイニング
半密室劇の金字塔
総 合★★★★★★★★★★(10)
満足度★★★★★★★★★★(10)
呪われたホテルの物語という側面と
文章が書けない作家が
狂っちゃった物語という側面がある。
そこに予知能力を持った少年が絡まったり。
スティーブン・キングらしい
B級感あるアメリカンなホラー。
霊が住み着くホテルという物語においては
怨念の霊ではなく
パリピな人たちがその楽しく
輝かしいノスタルジーに住み着いてる感じ。
文章が書けない作家が狂うという設定は
悩めるスティーブン・キング自虐といった感じで
ユーモアに満ちている。
映画はシンプルで動きや登場人物も少ないが
余分がそぎ落とされテンポが良く飽きる箇所がない。
三輪車と同じ目線でホテルを走り回る映像は
今でこそスタビライザーが当たり前だが
当時は画期的であり、今見ても古さを感じない。
映画のポスターはキューブリック監督が
大御所ソール・バスに
何案も考えさせリテイクさせた挙句
結局採用せず映画の場面シーンである
ジャック・ニコルソンの顔を使っている。
今思うと60年代テイストのソール・バスに
80年になんて無茶振りをしてたのだろうという感じ。
(1980アメリカ)
地獄の黙示録
今見ても撮影が凄い。
そして意外にユルい。
総 合★★★★★★★★☆☆(8)
満足度★★★★★★★☆☆☆(7)
まず凄いところは
撮影のスケールと迫力が凄いです。
ヤシの木の原生林焼き払ったり
村丸々1コセット作って焼き払ったり
橋1コ壊したり
一歩間違うと大事故の本物のヘリをたくさん使って
低空飛行の地上戦撮ったり
牛一頭その場で首を落としたり。
まぁスケールが大きい。
ただ倫理的に今は許されないだろう。
物語はジャングル奥地に帝国をつくってしまった
グリーンベレー大佐を主人公のマイケルダグラスが暗殺しに行く道中で
いろんな苦難にあうというもの。
ハリウッド映画のひと時の異次元体験アミューズメントもの。
ベトナム戦地を欧米人からみたオリエンタルに脚色している。
「戦争の狂気を描く」みたいな言われようであるが
リアリティには欠ける狂気と地獄になっている。
反戦映画でもない。
ジャングルの中の花火のような美しい夜戦や
バニーガールのショーや未開の地での襲撃など
シュールで不思議な異世界体験。
通常版の他に完全版があって
完全版は主人公の彼女との回想録や
バニーガールたちのその後の地獄、
カーツ帝国のその後も一瞬写っているが
どれも物語には大切ではないので通常版で十分。
正直名画と言われている割には
意外にユルイ。
(1979 アメリカ)
クラッシュ
総 合★★★★★★★★★★(10)
満足度★★★★★★★★★★(10)
ライオンズゲート製作らしく
くらーい質感。
とても入り組んだ脚本を
簡単に分かりやすく見せている。
LAを舞台に
多様な人種が生む差別や憎悪や人間愛。
差別主義者の警官役の
マット・ディロンがいい。
ジェームス・ディーン再来みたいな扱いだったけど
その後聞かなくなり
ここで人格俳優として再脚光!
と思ったらその後はまた潜ってしまってるけど。
ブロークバックマウンテンが当時は大騒ぎで
アカデミー賞本命とされたけど
これが掻っ攫っていった。
それだけの作品ではある。
全編暗く悲しみに満ち満ちてはいるが
愛がある。
特に多様な人種社会のアメリカ人には染みるだろう。
(2005年アメリカ)