人間昭和天皇を演じた作品
総 合★★★★★★★☆☆☆(7)
満足度★★★★★★★★☆☆(8)
2015年(平成27年)、原田眞人監督版
1967年 岡本喜八監督版に比べて
登場人物を絞り
限定して人間描写に重きを置いて描いている。
特に67年版は
昭和天皇がご存命だったこともあり配慮から
2代目松本幸四郎が演じながら
クレジットもなし、常に後ろ姿など存在感だけの表現で
人間昭和天皇の描写は全くされていなかった。
それがまた良かったのだが。
阿南や鈴木との交流も描く。
本木の凛とした演技がとても良い。
実際にアナミをアナンと呼んで仲が良かったらしく
その辺のくだりもポツポツ。
徹底抗戦の象徴的存在として
東條英機も登場する。
天皇との会話内容はフィクションと思われるが
ポツダム宣言受諾反対を直訴しに行くくだりは本当にあったのかな?
阿南が『狂人走不狂人走』(狂人が走ると、普通の人も走り始める)
この清厳禅師の書が飾られてて
東條英機が不快を示すくだりがあるが
実際に阿南がそういう書を掲げていたのかな?
伝聞を加えエピソードに厚みを持たせている。
内容がフィクションぽいものも多いが
人間劇を浮かび上がらせる意味では
面白くはされている。
全体的に綺麗に丁寧に撮られていて
戦時下の緊張感はあまりない。
67年度版よりも見やすいが
67年度版のほうが
ギリギリの駆け引きや
緊迫した真夏の暑さや
青年将校の絶望感や
特異な日の緊張感がビシビシ伝わる。