旧作7泊8日メモ

映画の忘備録

セッション

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精神対決という新ジャンル

★★★★★★★★☆☆ (8)

 

先の日野皓正さんがドラムソロを止めない生徒を

ボコる騒ぎのときに

「セッション」と全く同じと話題になった映画。

あの生徒はこの映画に感化されて

暴走行為に及んだのではないかな?

 

(以下ネタバレ含む)

 

JAZZの最高学府で

パワハラアカハラで生徒を精神的に追い込む

熱血教師フレッチャーと

バディ・リッチに憧れる才能溢れるドラマー、ニーマンの

愛憎劇。

 

生徒を鬱になるまでに追い込んで

次のチャーリー・パーカーを生むのだろうか?

もしくは才能を潰してしまうのだろうか?

というストーリーなんだけど

 

互いに騙し騙されの末に

言葉ではなく演奏で数分互いの心が通う瞬間がある。

そこが面白い作りになっている。

張り詰めた空気感もよい

もう現代のコンプライアンスでは完全アウトの軍隊並の鬼教官

なんだけど完全否定はしてないところがポイント。

 

リアルな話では

スタンダードジャズにココまで賭けて、

その先に大きな成功など見返りがあるわけではなく

独裁な教官に師事することは

割が悪く矛盾があるんだけど

 

現に鬼教官も教官の職を退いたのちには

小さなJAZZクラブ回りの一バンドマンであり

JAZZの衰退を嘆いている(ここはリアル)

しかも絶対的な傲慢かませるだけの

演奏もしていない

 

クライマックスの演奏シーンは

ドラムソロ長すぎ。

見せ場が速打ちだとかあんまりJAZZと関係ない。

それこそ「セッション」やインプロヴィゼーション

見せて欲しかった。

かつてクロスロードという

ブルースがテーマのロードムービー

クライマックスのギターバトルの相手役が

突如スティーブ・ヴァイで、

ブルースギターの修行なのに

メタル的速弾き対決になってしまったケースを

思い出した。

 

 

原題はビッグバンドの定番曲「Whiplash」。

「Caravan」のほうが劇中では印象的に使われている。

Whip=鞭、lash=打つ

鞭で打つ鬼教官の姿勢と

ドラムの没頭による「鞭打ち」の病名を掛けた

深いタイトルなのに「セッション」という邦題にして

そこに集客効果とかあるのかな?

宣伝担当者の不安を少し和らげるためだけに

作品を少し壊してるような。

 

 


監督: デイミアン・チャゼル

出演: マイルズ・テラー, J・K・シモンズ

(2014)

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