HEAT/ヒート
キレキレの決闘劇
★★★★★★★★☆☆(8)
個人的満足度(8)
ギャングの世界しか
自分の表現手段がない男と
同じく刑事しか
自分の表現手段がない男と
違いを認め合いながら戦う男2人
漂いまくる哀愁。
あまり笑わない怖いデニーロの演技は最高。
同じくピリピリ神経質でワーカホリックな
アルパチーノも最高。
ゴッドファーザーIIでは共演シーンはないので
初共演作ということになる。
脇役も豪華名優だらけ。
強盗シーンや
銃撃シーンの重厚でシャープな見せ方は
さすがはマイアミバイスやスタスキー&ハッチなど
男ドラマでの叩き上げマイケル・マン
凄く迫力がある。
カシャっていう銃のブローバックの音一つとっても違うと思ってたら
やはり本物の銃で撮影してるし、
役者には実弾射撃で演技練習してもらってる
発射音も実物のものを使っているとのこと。
銃へのこだわりようハンパない。
クリストファー・ノーランがダークナイトを作るにあたって
この映画を研究したというのも頷ける。
キレキレ
(1994年 アメリカ)
野火
グロいが観れてしまう
★★★★★★★☆☆☆(7)
個人的満足度(7)
大岡昇平の原作に沿って
塚本晋也監督が主演までこなした力作。
戦時下ジャングルの中の追い詰められた日本兵たちの
異常や悲惨を描く。
グロ映画を撮りたかったのかな?
と思えるほどグロいシーンもあるのが。。。
テンポが良くてあっっというまに観られる
音の大小のレンジが広すぎて
ボソボソ囁くセリフが多く聞き取れないから
ボリュームをあげると
爆音で効果音や音楽が入り
まぁ聞きにくい。
「生きるために仲間と力を合わせる」
↓
「生きるために仲間から奪う」
↓
「生きるために仲間を食べる」
まで行き着きそうな究極を体験してしまった人たちは
一生消えないトラウマを抱えて
それが野火であり
重いテーマです。
(2014 日本)
ノー・エスケープ 自由への国境
ヒトラー ~最期の12日間~
祭りの後のナチス
★★★★★★★☆☆☆(7)
個人的満足度(7)
原題:Der Untergang、英題:Downfall
2004年公開のドイツ、オーストリア、イタリア共同制作。
原題はドイツ語で「失脚」「没落」の意。
動画投稿サイトのパロディー「総統閣下シリーズ」の元ネタ。
ヒトラーを悩める人間として描き
ナチス将校たちの葛藤を描いたことは
少し画期的。
ヒトラーの優しさなどタブーを描けたのは
指揮官としては徹底的に無能であり、弱い人間として
描ききってるからだと思われる。
敗北を受け入れず撤退や降伏を断固拒み、
それにより市民は犠牲になって当然とする無責任。
映画は始まってしまった戦争を終わらせる難しさを
浮かび上がらせている。
ウッカリしがちだけど
ベルリンを陥落させヒトラーを追い込んだのは
チャーチルでもアメリカでもなく
ソ連軍。
しばらく前にこんなTweetがバズッてたけどまさに。
ヒトラーもゲッペルスも
全く責任をとることなく
政権を選択したのは国民なのだから
国民が死んで当然という認識でいる。
ゲッペルスの奥さんに至っては
完全に第三帝国という宗教にのめり込んでいる。
物語は史実をベースに人間劇を淡々と描くので
抑揚はないのだが
最後にヒトラーの秘書だったユンゲの
現代の(2002年没)インタビュー映像が挿入されて、
そこでの彼女の
「若かったからといって許されることではない」と
毅然と自戒する語りだけグッとくる。
(2004年 ドイツ オーストリア イタリア)
交渉人 The Negotiator
謎解き痛快交渉劇
★★★★★★☆☆☆☆(6)
個人的満足度(7)
交渉人としての活躍を描くというより
交渉人が事件に巻き込まれることで
ノウハウを駆使して立ち向かっていく物語。
ネットの視聴者のレビューの評価が高かったので見てみた。
絶体絶命感の演出が上手くハラハラさせられる。
設定はありふれている
やり手の警察官が
濡れ衣を着せられて
警察から追われる立場になり
黒幕は警察の内部にあり
疑惑を晴らしていく。
ありふれたワザとらしい設定だが
サミュエルジャクソンと
ケヴィン・スペーシーという
名優の迫真の演技と
交渉人というプロ2人の頭脳明晰な判断が
痛快なドラマに仕上げている。
影のない役のケヴィン・スペーシーの演技も貴重
劇中でシェーンや西部劇の余談を入れる所に
製作者のちょっとした拘りを感じる
(1998 アメリカ)
レッドプラネット
主題なき火星珍遊記
★★★★☆☆☆☆☆☆(4)
個人的満足度(3)
プチネタバレ
火星に探索に行って命辛々帰ってくると言う話なのだが
映画の柱がないので少し退屈。
アポロ13やオデッセイのように
サバイバルを主題にするのか
エイリアンみたいに未知の生物との戦いなのか
ソラリスのような不思議体験なのか
ライトスタッフのような人間劇なのかetc
地球から火星に移住しようとテラフォーミングするため
藻を送り込んでたら
未知の虫が巣食ってしまったと言う設定なら
それとの戦いでよかったのに。
仲間割れや宇宙船事故やロボットの反乱や
突然のラブストーリーなど盛り込みすぎてて。。。
結局の主題がないので
バタバタ自演劇が進んで行く感じ。
SFは荒が多くても好きなんだけども・・・
漫画のテラフォーマーズの着想になったのかな?
(2000 アメリカ)
マザー!
監督は楽しいだろうが…
★★★★★★☆☆☆☆(6)
個人的満足度(6)
以下ネタバレ!
MY HOME ラブな低血圧そうな草食若妻の家に
厚かましい一家が舞い込んで
厚かましさの限りを尽くすことから始まり
そのエピソードがエスカレートするパターンかと思ったら
そこは一段落。
その後旦那の詩が大当たりしてファナティックな民衆が
家に押しかけて前にも増して厚かましく
熱狂はエスカレートして
旦那は神格化され生まれてきた赤ちゃんさえ
民衆の欲望の為の生贄となり
若妻大爆発して
全てを焼き払って終了。
でもそれは
旦那の手のひらの中のエピソードでしか
なかったというような話。
聖書の世界を家に置き換えて表現してると言われる。
旦那が神で妻が地球
創世記から始まり
身勝手な子供達が仲違いをする。
アダムとイブからカインとアベルを匂わせる。
愚かさから家を水浸しにしてしまうのはノアの方舟であり
民衆のエゴの犠牲となる赤ちゃんがキリストであり
最後は黙示録の如く炎で焼き払われる
などなど言われるが・・・
ただ監督がこれやりたかったんだろうなぁといった感じ。
だからとてつもなく凄いものではあるけど
聖書の知的遊びは抜いて考えて
前知識なく見た場合に共感を得られるとすると
ゲスト達(人)の身勝手な行動から
ホスト(神)の狼狽に共感・・・
なのかな?
共感も難しく
ポカーンとしてしまうかも。
自分がそうだったし。
赤ちゃんの肉を食べるというシーンから
日本では公開が中止になった作品。
聖餐式に教会で神の肉(パン)、神の血(赤ワイン)を食すというのは
身近な行為であるのでこの表現は単純なカニバリズムではなく
宗教的な表現であり比喩であるゆえに必ずしもNGではなかろうが
日本的な感覚からするとブットビますしトラウマになります。
ポスターのメインビジュアルも
美しいパステル調のイラストなのに
心臓をくり抜いてるというコントラストの強さが
意図するところなのに
日本版は顔だけトリミングして
心臓消してるので何が何やら分からないビジュアルになってて
日本何やってんだろ?という感じ。
なかなかお茶の間感覚では
受け入れられない作品です。
(2017 アメリカ)